【相撲コラム】2015初場所総括

先場所で大鵬に並ぶ32度目の優勝を飾った白鵬の記録更新に注目が集まった今年の初場所。
その白鵬は今場所も圧倒的な強さを見せ、33度目の優勝を2013年5月場所以来の全勝優勝で飾った。
もはや向かうところ敵なし…と言いたいところだが、6日目の対遠藤戦では観客の遠藤コールに冷静さを欠く場面があったり、取り直しの一番となった14日目の対稀勢の里戦での勝負審判の判定に不満を持つなど、心理的にややブレが生じているようにも感じられる。この心のブレが今後にどう影響していくのか心配ではあるが、少なくとも白鵬の天下はここ暫くは続くであろうし、他の力士も白鵬の独走に待ったをかけるべく更なる精進を重ねるべきであると思う。

白鵬以外でも話題に事欠かない今場所。
初日、いきなり遠藤vs逸ノ城という好取組が組まれ、22本もの懸賞が懸けられた注目の取組は遠藤が勝利したが、次代の角界を担うべきこの両者は共に6勝9敗と不本意な成績に終わってしまったのは残念なところだろう。
この逸ノ城を含め、三役は全員負け越し(碧山5勝10敗、高安6勝9敗、栃煌山7勝8敗)と精彩を欠いてしまったのも悔やまれる。
その一方で、14日目の同じ鳥取城北高校出身の照ノ富士との対戦では6年ぶりの水入りとなり、通算5分以上となる熱戦を制するなど、白鵬以上にファンを沸かせたのは間違いないだろう。
その対戦相手の照ノ富士は千秋楽で勝ち越しを決め、今場所唯一の三賞となる敢闘賞を獲得。上位陣が総崩れの状況もあり来場所の番付がどうなるか楽しみだ。
一方大関陣は稀勢の里が中盤まで優勝争いに食い込むも11勝に終わり、角番の琴奨菊は9勝、もう一人の角番の豪栄道は千秋楽で角番脱出と精細を欠いていたと言ってもいい内容だった。共に二桁勝つのがやっとだった白鵬以外の横綱陣と共に、「ストップ・ザ・白鵬」を目指し稽古を重ねていくしかないだろう。

十両では今場所幕内から陥落した北大樹が格の違いを見せて十両優勝したが、十両2場所目で2場所連続二桁白星の輝、新十両で千秋楽に勝ち越しを決めた阿武咲といった新星たちの活躍も今後に期待が持てる。
来場所の新十両は堀切改め阿炎(あび=錣山)、川成改め天風(あまかぜ=尾車)、石浦(宮城野)の3人。
このうち石浦は関取では最軽量の104kg。琴光喜や逸ノ城らを育てた鳥取城北高の石浦監督の長男でもある石浦は、鳥取城北高-日大と進むも、大学時代はレギュラー落ちも経験。大学卒業後はオーストラリアでの語学留学や総合格闘技への転向を模索するも高校・大学の同期である大喜鵬や、高校の1年後輩である貴ノ岩に刺激を受け、入門期限ギリギリで入門した。
白鵬の付き人として横綱の背中を見続け、1年間のブランクと体格のハンデを乗り越え、技巧派力士として勝ち取った関取の座。目標とする元関脇・鷲羽山に近づくためにも、更なる精進を重ねてほしい。

3月場所は3月8日初日。各力士とも精進を重ねて来場所に備えてほしい。

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