相撲用語辞典【さ】

  • 下がり[さがり]
    締め込みの前に挟んで下げている縄のれんのような装飾品。
    十両以上の下がりは布糊で固めたものを使用。(幕下以下は布糊で固めない)
    本数は力士の体格により異なるが、必ず奇数でなければならない。
  • 桟敷[さじき]
    土俵周りの枡席。
  • 差し違い[さしちがい]
    勝敗に対し勝負審判が物言いをつけ、協議の結果行司の軍配が覆されること。
    差し違いは行司にとっては不名誉であり、特に立行司の木村庄之助および式守伊之助が差し違いを犯した場合は理事長に進退伺を出すのが一般的だが、受理されたことはない。
  • 三番稽古[さんばんけいこ]
    同じ力士同士が何番も続けて稽古すること
  • 三役[さんやく]
    大関・関脇・小結の総称。一般的には関脇・小結を三役と称す場合が多いが、正確には大関も含まれる。
  • 三役揃い踏み[さんやくそろいぶみ]
    千秋楽の結びの三番(これより三役)の前に行う儀式。
    最初に東方から前に2人(東側に小結、西側に関脇)、後ろに大関1人が立ち、3人揃って四股を踏む。
    続いて西方から前に小結1人、後ろに2人(東側に大関、西側に関脇)が立ち、同じく3人揃って四股を踏む。
  • 鹿をきめる[しかをきめる]
    とぼける。知らんぷりをする。花札10月の札に描かれている鹿が横を向いていることに由来する。
    「しかと」と同じ意味・由来だが、こちらはヤ○ザの隠語である。
  • 仕切り[しきり]
    土俵に立った力士の立ち合いまでの動き
  • 仕切り線[しきりせん]
    土俵中央の2本の白い白線。
  • 四股名[しこな]
    力士の呼称。元々は「醜名」(醜は「みにくい」ではなく「逞しい」の意味)と書かれていた。
  • 支度部屋[したくべや]
    東西の力士が控える大部屋のこと
  • 下手[したて]
    廻しを持って組んだ際に、下の方になっている手のこと。(対義語:上手)
  • 死に体[しにたい]
    投げられてひっくり返った時など、勝つことが不可能になった(と思われる)体勢。相撲中継では言葉のイメージ上、「体(たい)がない」と表現することが多い。
    相撲では基本的に相手より先に足の裏以外の部分が土俵につくと負けになるが、死に体になった場合はその時点で負けとされる。
    しかし、死に体かどうかの判断は非常に難しく、行司の軍配に物言いがついて長い協議になることも多い。
  • 締め込み[しめこみ]
    関取が締める取組用の廻し。絹のサテン織で、稽古用の廻し(木綿の白廻し)と区別される。(幕下以下は稽古も取組も同じ廻し(黒廻し)を使用する。)
    締め込みの色は規定では「紺または紫系統の色」と定められてはいるが、実際はそれ以外の色も黙認されており、各力士の個性による様々な色の締め込みが見られる。
    1957年11月場所(第1回九州場所)で、マラリアで2場所連続休場し、関脇から前頭14枚目まで番付を下げた玉乃海は再起を賭け、金色の締め込みを締めて土俵に立った。当時の時津風理事長(元横綱双葉山)から「廻しの色にも規定があるからダメだ」と言われたが、「これが最後の場所だと覚悟を決めている」と話すと特別に許可された。
    そしてこの場所で玉乃海は全勝優勝(九州場所の第1回優勝力士)を果たす。以後カラーテレビの普及も相まって廻しの色が実質自由となった。
  • 蛇の目(の砂)[じゃのめ(のすな)]
    土俵の外周に敷かれた砂。勝負俵から力士の足が出たかどうか判別するにあたり痕が残るため、勝負の判定の目安となる。
  • 十枚目[じゅうまいめ]
    十両の正式名称。明治時代に給与制度を導入するにあたり、幕下上位10枚目以内の力士には給料が支給されるようになった事から。
    十両の呼称は当時の幕下筆頭から10枚目までの年俸に由来しており、これがいつからか十枚目(十両)として幕下と区別されるようになった。
  • 出世披露[しゅっせひろう]
    番付外の力士が前相撲を取って序ノ口に上がる資格を得た力士のお披露目の儀式。師匠または部屋(あるいは同じ一門)の関取の化粧廻しを締めて土俵でお披露目される。
    三月場所ではかつては出世披露は3回あり、5日目までに2勝を挙げると「一番出世」、6日目から8日目までに2勝すると「二番出世」、それ以外の者は「三番出世」となっていたが、近年は入門者数の減少もあって2回となり、一番出世以降の出世は全て二番出世となっている。
    それ以外の場所では2勝した者から勝ち抜けとなるが、出世披露は前相撲の全日程の最終日に一括で行う。
    なお、この規定が設けられたのは1994年3月場所からであり、それ以前は3勝した者が一番出世とされていた。
  • 巡業[じゅんぎょう]
    取組や稽古などを見せる興行。本場所のない時期に各地を回って行われる。(ただし1月場所と3月場所の間は巡業は行わない)
  • 初切(初っ切り)[しょっきり]
    花相撲や巡業などで相撲の禁じ手(反則技)を面白おかしく紹介する見世物(コントのようなもの)。
    幕下以下の力士と行司が務めるが、初っ切りでは大銀杏を結うことが出来る。
  • しょっぱい
    ケチ。情けない。(相撲が)弱い。
    土俵に這ってばかりで塩にまみれている様からこう呼ばれるようになったという。
    因みにプロレスの世界でもよく使われているが、これは力道山が大相撲を廃業してプロレスに転向したことにより伝わったものとされている。
  • 初日が出る[しょにちがでる]
    本場所で初白星を挙げる
  • スカす
    相撲を辞めたくなり、誰にも挨拶せずに密かに部屋から逃げ出すこと。いわゆる脱走。
    ただし、一度スカしても思い直して戻って来る力士もいるため、引退届をすぐには出さない場合も多い(引退届を出すと二度と復帰は出来ない為)。
    1967年7月、片男波部屋の玉ノ富士(現・楯山親方)は序ノ口最初の場所を6勝1敗としたが、この成績を不満として相撲に見切りをつけてスカし、陸上自衛隊に入隊。満期除隊後、様々なアルバイトを経て脱走から3年後に再び部屋に戻り、師匠(玉乃海)の許しを得て再入門し、関脇にまで上り詰めた
    玉ノ富士の廃業届は1968年5月に受理されていたが、当時は(離籍者の帰参を認めないという規定はあったが)大らかであったために再入門が許されたという。
  • 頭突きをかます[ずつきをかます]
    厳しく叱る。
  • 砂被り[すなかぶり]
    土俵際の溜席。コンサートや格闘技のアリーナ席のようなもの。
    取組を間近で見られる特等席であるが、飲食は禁止されている。(写真撮影も禁止されているが実際は黙認されている。)
  • 相撲甚句[すもうじんく]
    花相撲や巡業などで披露される相撲を題材にした七五調の囃子歌。相撲教習所でも必修科目となっている。
    幕下以下の力士が相撲甚句を披露する場合、大銀杏を結うことが出来る。
  • 歳暮の鮭[せいぼのしゃけ]
    相手に何も抵抗できずに吊り出されること。荒縄で頭から吊るされた新巻鮭のように見えることからそう呼ばれたらしい。
    2009年3月場所12日目で、栃煌山が把瑠都に豪快に釣り上げられ、何の抵抗もできずに吊り出された一番を見たNHK大相撲解説者の北の富士(第52代横綱)が、「栃煌山は吊られっ放しじゃなくてもっと抵抗しないと。シャケじゃないんだから。」「お歳暮の鮭でも、もうちょっと格好良く吊られてるよ。」と発言した。この一件以来、特にネット上で栃煌山には「シャケ」というあだ名が付けられているが、元々は古くからあった隠語が由来だったようである(諸説あり)。
  • 石炭を焚く[せきたんをたく]
    急ぐこと。「急げ!」は「石炭焚け!」となる。最近はあまり使われない。
  • 関取[せきとり]
    横綱から十両までの力士の総称。「名乗っただけで関所を通れる」ことから由来。「資格者」とも呼ばれる。(対義語:取的)
  • 世話人[せわにん] (詳細)
    相撲で使用する用具の運搬・管理および所属の相撲部屋や本場所・巡業での雑務を担当する裏方。若者頭の補佐も務める。
    元力士の中から選抜して指名される。就任の目安は、「年寄名跡を襲名できなかった引退力士の中でも角界に対する強い執着を持った者」であり、
    初土俵から20年近く現役を続けたような力士生活の極めて長い人物が配属される傾向にある。世話人名は現役の最高位の時の四股名を名乗る。
    現在定員は14名。十両経験者も含まれている。
  • 千秋楽[せんしゅうらく]
    本場所の最終日。「楽日」ともいう。語源は諸説ある。
  • ソップ型[そっぷがた]
    痩せている力士のこと。ちゃんこの出汁にも使われる鶏ガラスープから由来。(スープ→ソップと変化)
    代表的な力士に栃木山、千代の富士、霧島、維新力、隆の山などがいる。現役の力士では日馬富士や双大竜、石浦など。
  • 蹲踞[そんきょ]
    取組の直前に対戦相手と仕切り線をはさみ、腰を下ろして向かい合う姿勢のこと
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