相撲用語辞典【あ】
2017/8/31
- 合口[あいくち]
特定の対戦相手の相性の良し悪しのこと
- 相星[あいぼし]
対戦する力士同士が同じ成績であること
- 相四つ[あいよつ]
お互いの力士が共に得意四つで取り組むこと
- 明け荷[あけに]
化粧廻しや締め込み、浴衣などの身の回りの物を入れて持ち運ぶための蓋付きの箱。十両以上の力士や行司が持てる。
竹籠に和紙を何重にも張り、漆を塗ったもので、大きさはW800:D450:H300。重量は約10㎏。
基本的に一人一つだが、横綱に限り三つ持てる(化粧廻しが三つ揃えの為)。
- あごをかます(あご)
頼まれごとをけんもほろろに断る事。単に「あご」でキャンセルの意味にもなる。
立ち合いで肘を相手の顎に当てて一気に相手の上半身を起こす(かち上げ?)事から由来。
- 浅い[あさい]
下手を浅く差す。次の技に移りやすい。
- 足が流れる[あしがながれる]
自らの体の動きに足が付いて来ないこと。
- 兄弟子[あにでし]
年齢に関係なく一場所でも先に初土俵を踏んだ人。番付が同じならは兄弟子の方が上位。
力士だけではなく、行司・呼出・床山も同様。
- 荒木田[あらきだ]
土俵を築くための土。東京の旧荒川(隅田川)沿いにあった「荒木田原」(現在の荒川区南千住あたり)という地名から由来。
昔はここの土が土俵を作るのに最適だったらしい。
現在は東京場所については埼玉県川越市で採取した荒木田土で土俵を築いている。地方場所については現地で調達した土を使用していたが、力士から「土俵が滑る」という意見が多かったことや、場所中に土俵が崩れるケースが何度か起きたことから、2017年11月場所以降は地方場所の土俵も荒木田土を使用することとなった。
- アンコ型[あんこがた]
太っている力士や人のこと。魚の鮟鱇(あんこう)が由来。
現役の力士では逸ノ城や千代丸・千代鳳兄弟、臥牙丸などが代表的。過去では小錦や北の湖、大乃国などが代表格。
- アンマ
自分より上の地位の力士の稽古相手となる事。マッサージの「按摩」から由来。
- 按摩の笛[あんまのふえ]
食い意地が張っている人のこと。(詳しい説明は諸般の事情により割愛。)
- いいとこ売る[いいとこうる]
冗談を言ったり、知ったかぶりをすること。知ったかぶりをする人は「いいとこ売り」と呼ばれる。
- イカをきめる
勝ち逃げ。イカが危険から逃れる為に墨を吐いて逃げ去ることから由来。
- 勇み足[いさみあし]
相手を土俵際まで追い詰めながらも自分の足が先に土俵を割ってしまうこと。
「腰砕け」や「つきひざ」などのように決まり手ではない「非技」(勝負結果)とされている。
最近では2014年11月場所3日目で横綱日馬富士が平幕の高安を相手に記録した。(高安は金星。)
- 痛み分け[いたみわけ]
取組中に両力士が負傷したために、その後の取直しなどで取組の継続が不可能となった場合の裁定。星取表では「△」。
かつては一方の力士が負傷した場合でも痛み分けになったようだが、現在はこの場合負傷しなかった方の力士の不戦勝となる場合が殆どである。
十両以上での痛み分けは、1964年11月場所7日目の十両の取組・宮柱-清の盛戦が現在までで最後のケースである。(幕内ではなし?)
- 一代年寄[いちだいとしより]
現役時代の功績が顕著(概ね優勝20回以上)な横綱に対し、その一代だけに限り贈呈する特別な年寄名跡。年寄名には引退時の四股名がそのまま使われる。
譲渡や継承は不可能(一代年寄とは別の年寄名跡を一つ所有することは可能)。
これまでに大鵬・北の湖・貴乃花が一代年寄となった。千代の富士も一代年寄が認められたが、本人が辞退(陣幕→九重を襲名)した。
返上も可能なようで、大鵬は古巣の二所ノ関部屋の継承問題に際して一代年寄の返上を検討したこともある。
- 一門[いちもん]
相撲部屋の系統ごとに存在する人脈的な派閥。各一門は一門内の部屋で連合稽古を行ったり、一門ごとに協会理事や勝負審判を決めたりしている。
現在は出羽海・二所ノ関・伊勢ヶ濱・時津風・高砂・貴乃花の6つの一門が存在する。
- 引退相撲[いんたいずもう]
本来は引退した力士が国技館で取る最後の相撲のこと。大概は断髪式などを合わせて執り行う引退興行のことを言う。花相撲の一種。
引退相撲を国技館で開催できるのは十両以上在位30場所以上とされている。
元来は引退力士の今後の生活資金を捻出するために行われたものであり、今でも引退相撲の収益が引退力士の貴重な収入源となることは言うまでもない。
- 打ち上げ[うちあげ]
千秋楽後に部屋単位で行う打ち上げパーティーのこと。
部屋(地方場所の場合は宿舎)や国技館の宴会場、ホテルの大広間など、スタイルは各部屋さまざまである。
幕下以下の力士が引退する場合、打ち上げパーティーの中で断髪式を行うことが多い。
- 打ち出し[うちだし]
その日の興行(本場所や巡業など)の終わりのこと。
- うっちゃる
投げ捨てる。放り出す。由来は勿論決まり手の「うっちゃり」から。
- 上手[うわて]
廻しを持って組んだときに、上の方になっている手のこと。(対義語:下手)
- えびすこ
大食漢の力士。大食い自体のこともこう呼ばれる。由来については祭礼行事の恵比寿講が由来とか、七福神の恵比寿の腹が由来など、諸説あり。
- 大銀杏[おおいちょう]
十両以上の力士が取組などの公の場で結うまげのこと。稽古や日常生活では通常の丁髷を結う。
幕下以下は基本的に結うことは出来ないが、十両力士との取組の時や、初切・弓取り式・相撲甚句を務める場合、引退時の断髪式では大銀杏を結うことが出来る。
大銀杏を結うには一定以上の髪の毛の長さが必要な為、出世が早くて髪の毛の伸びが足りない場合は十両以上でも丁髷で相撲を取る
(新入幕当初の遠藤や逸ノ城のように丁髷すら結えずざんばら頭で幕内の土俵に立った力士もいる。)
- 大頭[おおがしら]
東西の前頭筆頭のこと(同義語:貧乏神)
- 大相撲になる[おおずもうになる]
なかなか決着がつかず長時間の取組になること。
- 女将さん[おかみさん]
部屋の師匠(親方)の夫人のこと。弟子にとっては母親代わりである。
某F島部屋(元大関M双山)のように師匠が独身(2016年3月現在)の場合は勿論女将さんはいないw
- おかる
不細工な女性のこと。江戸時代の相撲巡業に帯同していた「おかる」という女旅芸人がかなりの不細工だったことが由来らしい。(対義語:金星)
- お好み[おこのみ]
巡業で取組の合間に行われる余興のこと。(初っ切り、相撲甚句、赤ちゃん相撲、わんぱく相撲など)
- お米[おこめ]
お金、お小遣い。江戸時代の力士は扶持(給料)を米(扶持米)で貰っていた事が由来。
- おす
相手に奢らせること
- おっつける
奢らせるのがうまいのこと。押し付けるが訛ったもの?
- 恩を返す
稽古をつけてくれたりするなど世話になった力士に勝ったり、番付を追い抜くこと