このページは、1月3日にUPしたBLOG記事「【相撲コラム】ふと、懸賞金について考えてみた」を基に再構成しました。
【懸賞とは】
幕内の取組で勝利した側の力士に授与される賞金。協賛企業や団体が取組を指定して提供する。
【懸賞の金額】
1本あたり62,000円(2014年5月場所以降)
[内訳]
・力士手取り分…30,000円
・事務経費…5,300円(取組表掲載および場内アナウンスの手数料として)
・納税充当金…26,700円
- 力士手取り分の3万円は祝儀袋に入れられ、勝った力士に行司から手渡される。
- 祝儀袋は東京・麻布十番の「長門屋商店」の特注品。
- 納税充当金は、協会が力士個人名義の預り金として徴収し、年末調整時に納税額の不足が生じて追加徴収が行なわれる場合はここから充てられる。この余剰金は引退時に本人に還付される。
【懸賞の掛け方】
- 懸賞金は原則として1日1本,1場所15本以上から受付。つまり最低でも1場所930000円が必要とされているが、2000年以降は5本以上であれば1日だけでも受け付けている模様(ただしこの件については協会公式サイトには明記されていない)。
- 懸賞を懸けたい場合は取組の5日前(初日からの場合は火曜日まで)に書面で申し込む。個人での受け付けはしていない(政治利用を防ぐため)。
- 一つの取組に2本以上の懸賞を懸けることもできる。たとえば永谷園はCMで起用している高見盛(現・振分親方)や遠藤の取組にに5本の懸賞を懸けたりしている。
- 懸賞金の紹介(取組表掲載および場内アナウンス)で使われるキャッチコピーを含めた企業名、団体名は15文字以内と定められている。
- 取組の前に呼出が持って土俵を回る「懸賞幕」(W700*H1200・表裏とも同じデザイン)は懸賞金を出した企業・団体が自分で制作して持ち込む。(初めて懸賞を懸ける場合、申込時に持ち込み。)
→懸賞幕の一例(株式会社トマックのHPより) - NHKの中継では、懸賞金の紹介のアナウンスが流れているときは音量を絞って放送されており、懸賞幕が土俵を回る映像も対戦成績などのテロップで隠すように映されている。
- 一つの取組に懸けられる懸賞は最大50本まで(東京場所の「森永賞」は除く)。この制限は2006年1月場所より適用。この制限枠いっぱいまで懸けられた取組は同年9月場所千秋楽の朝青龍-白鵬戦(森永賞を含め51本)が最初。
2015年1月場所千秋楽では特例として結びの一番の白鵬-鶴竜戦で史上最多となる61本(森永賞を含む)の懸賞が懸けられた。 - 懸賞を懸けられるのは中入り後の取組に限られるが、1970年11月場所8日目の輪島(のち横綱)-長浜(のち小結・豊山)戦では十両の取組にも関わらず懸賞金が懸けられた(両者は学生相撲からのライバル同士)。
- 懸賞のかかった取組が力士の怪我などにより不戦となった場合は、既に懸けられている懸賞については他の取組に振り替えるか、キャンセルするかを選択できる(不戦が決まった時点で協会が懸賞提供元に連絡)。
2015年5月場所8日目(偶然にも当サイト管理人が観戦した日でした)では、白鵬-大砂嵐戦が大砂嵐の負傷休場により白鵬の不戦勝となり、既に懸けられていた40本の懸賞のうち23本が他の取組に振り替えとなった。
【主な懸賞】
《森永賞》
森永製菓(株)が東京場所に限り行っている懸賞であり、観客からの投票で対象の取組を決定する。森永ミルクキャラメルなどの森永製品の空き箱にその日の注目取組を1番選んで記入し投票(15:30(千秋楽は15:00)まで受付)。中入りの際に対象の取組が発表される。
対象取組に投票した観客の中から抽選で記念品(森永製品の詰め合わせ)が贈られる。
《主な懸賞提供企業》
永谷園、大関、伯方塩業(伯方の塩)、サンアグロ(千代田化成、丸ツバメ)、三光丸、クリナップ、高須クリニック、タマホーム、財宝、フローラ(HB-101、ニオイノンノ)など
【作法について】
懸賞のかかった一番では、行司は勝ち名乗りの後で、軍配の上に懸賞袋を乗せ、勝ち力士に差し出す。
勝ち力士はこれを右手で、三回手刀を切ってから受け取るのが現在では普通になっている。これは昭和の大関・名寄岩からはじまったものといわれている。
昭和30年代まで手刀を切る手やその切り方も力士によってまちまちだったが、時津風理事長(元横綱・双葉山)により、「右手で、左、右、中央と手刀を切る」ことを原則とする通達が出された。このあとも、元関脇・逆鉾(現・井筒親方)のように左利きの力士が左手で手刀を切っても特別問題視されることもなかったが、平成に入り、左利きである元横綱・朝青龍が左手で手刀を切って懸賞金を受け取ったときに、横綱審議委員会の内舘牧子がそれを問題視し、以後、原則の厳格化が進んだ。
内館氏は横審退任後も横綱白鵬の懸賞受け取りの所作について苦言を呈したりしているが、その一方で2015年初場所限りで引退した元小結・豊真将(現・立田川親方)の所作については賞賛の声が多数あり、今後親方としてその継承に期待する人々も多い。
※このページは以下のサイトを基に構成しました。
懸賞について(日本相撲協会)
懸賞(相撲)-Wikipedia