相撲用語辞典【か】
2015/5/6
- 害にする[がいにする]
相手を完膚なきまでにやっつけること。
稽古で激しくしごくこと、痛めつけること。あるいは、三番稽古で一方的に勝ち続けること。
- 顔じゃない[かおじゃない]
分不相応。
- 顔触れ言上[かおぶれごんじょう]
横綱土俵入り後に土俵上で行司(立行司または三役格行司)が明日の幕内取組を発表する儀式。
- 硬くなる[かたくなる]
怒る。
- 片屋[かたや]
力士が控える東西の部屋(控え部屋)のこと
- 角界[かっかい]
相撲界のこと
- がちんこ
真剣勝負のこと。力士同士が激しく立合いを行った際、「ガチン!」と音がするところからこう呼ばれたという。
八百長とは無縁の力士を俗に「ガチンコ力士」とも言う。
- 角番[かどばん]
大関が負け越し、次の場所で再び負け越せば陥落の危機にある状態。
由来は将棋および囲碁の用語(五番勝負で2敗するなど、次の対局で負ければ勝負自体の負けが決まってしまうような状況のこと)。
- かまし屋[かましや]
質屋。
- かます
質に入れる。騙して貶める。
- かまぼこ
稽古をサボっている力士のこと。土俵に入ろうとせず、蒲鉾のように羽目板(稽古場の壁)に張り付くように立っていることから。
- 可愛がる[かわいがる]
躾や精神鍛錬の目的で、稽古で上位力士が下位力士を厳しく鍛えること。本来はその力士の出世を願う親心によるもので、期待の大きい力士ほどかわいがられる。
しかしながら、度を過ぎた「可愛がり」の名のもとの体罰が横行していることも度々問題視されている。
その代表的な例が2007年8月の時津風部屋力士暴行死事件である。この事件によるマイナスイメージもあってか、現在では「可愛がり」という言葉は避けているようである。
- 勧進元[かんじんもと]
巡業の興行主。元来は勧進(寺社や仏像の建立のための浄財を集めること)の元締めのこと。
- 北向く[きたむく]
変わり者。拗ねている者。
高松城の鎮守神である華下天満宮は改築にあたり社殿が通常の向きと違う北向きに建てられて、そのため別名「北向き天神」と呼ばれている。
この呼び名を「北向き変人」とシャレ言葉にして、普通の人と違う者のことを意味しているのだとか。
- 木戸口[きどぐち]
会場の出入口。入場券のもぎりを行う親方は「木戸番」とも呼ばれる。
- 決まり手[きまりて]
取組で勝負が決まった技のこと。現在の決まり手は技82手、非技5手(勇み足、腰砕け、つき手、つきひざ、踏み出し)となっている。
不浄負けや髷掴み等の反則は決まり手ではない。
- 極める[きめる]
技をかけて動けなくすること
- 給金相撲[きゅうきんずもう]
勝ち越しを決める一番。
- 給金直し[きゅうきんなおし]
勝ち越しを決めること。(対義語:向こう給金)
勝ち越しを決めると、十両以上の力士の持ち給金(報奨金の基準額)が勝ち越し点(勝ち星数から負け星数を引いた値)1点あたり50銭(実際は2000円)増える事に由来。
- 行司[ぎょうじ] (詳細)
取組の有利・不利を判断し、勝者を判定する役目の者。
- 金星[きんぼし]
平幕の力士が横綱に勝利すること。金星を挙げると持ち給金が10円(実際は40000円)増える。
なお、横綱の反則負け(髷掴み等)の場合は金星にならないが、非技(勇み足など)の場合は金星となる。
また、美人、または会うと勝負事に運があがるような女性のことも「金星」と呼ぶ。(対義語:おかる)
- 銀星[ぎんぼし]
平幕の力士が大関に勝利することだが、金星と違って公式には記録されず、昇給にも関係しない。
- くにもん
同郷の人。
- 首投げ[くびなげ]
相撲の決まり手の一つであるが、性行為の隠語でもある。
(決まり手としての)首投げが決まった時の格好が「正常位」に似ていることからこう呼ばれるらしい。
- 食らわす[くらわす]
殴る。ただし取組において拳で相手を殴ることは反則である。
- 軍配[ぐんばい]
行司が立ち合いと勝負が決するときに使う団扇(軍配団扇)。
- 化粧廻し[けしょうまわし]
関取が土俵入りの際に締める装飾が施された前掛けの付いた廻しのこと。
新弟子の出世披露の時は師匠または所属部屋や一門の関取の化粧廻しを付ける。弓取り式で使う化粧廻しは協会所有(大阪場所は東西会所有)。
横綱は太刀持ち・露払いと共に三つ揃えの化粧廻しを使用する。
基本的に化粧まわしは後援会やタニマチ(スポンサー)から贈られる場合がほとんどで、1本500万円が相場らしい。
通常廻しは下に何も付けずに締めるが、化粧廻しは下に六尺褌を締めている場合が多い。
- 喧嘩四つ[けんかよつ]
得意の差し手が違う力士同士の取組のこと。
- 懸賞[けんしょう]
取組で勝利した側の力士に授与される賞金。協賛企業や団体が取組を指定して提供する。
懸賞は1本あたり62000円(2014年5月場所以降)。協会が事務経費として5300円を徴収。30000円が熨斗袋に入れられて力士に直接手渡され、残りの26700円は納税充当金として獲得者個人名義の預かり金として協会が預かる。(納税充当金は引退時に返還される)
- 源武[げんぶ]
タニマチに取り入ってお世辞を並べて祝儀を貰う行為。
大正~昭和初期の関取・源武山が相撲よりもタニマチ巡りに熱心だったことから隠語として名前が残った。
- ごっつあん(ごっちゃん)
ごちそうさま。ありがとう。ただし角界では応答の言葉(はい)や呼びかけの言葉(お願いします)としても使われる。
- 後の先[ごのせん]
相手より遅く立ち、自分に有利な体制に持ち込むこと。
- 米櫃[こめびつ]
将来有望な力士。人気力士。部屋の稼ぎ頭となりうる力士。
相撲用語でお金のことを「お米」と呼ぶことから由来しているのは言うまでもない。
- 蒙御免[ごめんこうむる]
公的な許可を得た興行であることを宣言する一文。番付表の中央に大きく記載されている。
江戸時代の一時期(1648年から)禁止されていた勧進相撲が1702年(京では1699年)に解禁された折、御上から許しを受けた興行であることを示すために使われた名残り。
- これより三役[これよりさんやく]
千秋楽の結びの3番の取組。この3番に出場する力士は3番の開始前に「三役揃い踏み」という儀式を行う
最初の一番で勝った力士には「矢」、二番目に勝った力士には「弦」が与えられる。
結びで勝った力士には「弓」が与えられることになっているが、現在では弓は省かれ、代わりに弓取り式を行う(弓は弓取り式を行う力士に渡される)。
- こんぱち
相手の額を指で弾くこと(いわゆるデコピン)。
新弟子が初めて髷を結った時に、親方や兄弟子に挨拶すると、お祝いの意味でこんぱち(デコピン)をされる習慣がある。