相撲用語辞典【た】
2017/8/30
- タコになる
思いあがって天狗になり、周囲の意見にも聞く耳を持たなくなること。「タコ釣る」とも言う。
若いうちに関取になったり三役・横綱に昇進した場合に、兄弟子や親方の言うことを聞かなくなったりする力士のことを指す。
- 太刀持ち[たちもち]
横綱土俵入りの介添え役で、太刀を持って東方に蹲踞の姿勢で控える。
(以下は露払いと共通)
化粧廻しは横綱の三つ揃えのものを使うため、太刀持ちや露払いを務める力士は幕内土俵入りもこの化粧廻しで参加する場合が多い。
太刀持ちおよび露払いは横綱と同じ部屋あるいは同じ一門の関脇以下の幕内力士が務めるのが慣例だが、諸事情により一門外から起用される場合もある。
なお、幕内であっても大銀杏が結えない力士は太刀持ちや露払いを務めることが出来ない。
横綱の引退相撲の土俵入りでは現役横綱が太刀持ちや露払いを務める場合があるが、この場合は太刀持ちや露払いも横綱を締めて土俵入りを務める。
- 立行司[たてぎょうじ]
行司の最高位。木村庄之助と式守伊之助の2名で、立行司はこの行司名を代々襲名する。
庄之助が上位であり、すなわち行司の最高峰である。庄之助は結びの一番のみ務め、それ以外の横綱の取組は伊之助が務める。
かつては「副立行司」として木村玉之助も存在したが、1960年1月を以て廃止され、玉之助の名跡も空位のままとなっている。
- 炭団[たどん]
黒星のこと。星取表では●で表されるため、これを炭団(炭団子)に見立ててこう呼ばれる。
- 谷町[タニマチ]
力士や相撲部屋の後援者。ご贔屓筋、スポンサー。
由来は諸説あるが、明治の初期に大阪の谷町(現在の大阪市中央区谷町)で開業していた歯科医・萩谷義則が大の相撲好きで、力士に対し無料で治療した上に小遣いまで与えていたことが由来とする説が一般的。
- 溜席[たまりせき]
土俵際の観覧席で、砂被りともいう。コンサートや格闘技のアリーナ席のようなもの。
取組を間近で見られる特等席であるが、飲食は禁止されている。(写真撮影も禁止されているが実際は黙認されている。)
- 太郎[たろう]
呼出や床山の給与。
- 断髪式[だんぱつしき]
引退した力士が髷を切り落とし、新たな門出を祝う儀式。
断髪式では幕下以下の力士でも大銀杏を結う。参列者が少しづつ髷に鋏を入れ、最後は師匠が止め鋏を入れる(師匠以外の者が止め鋏を入れる場合もある)。
引退相撲と共に行うケースや国技館の土俵で断髪式のみ行うケース、国技館の大広間やホテルなどの会場を使うケース、千秋楽の打ち上げパーティと並行してで行うケース、部屋の稽古土俵上で行うケースなど、地位や志向によりスタイルは様々である。
断髪式を行わず自主的に床屋などで髷を落とす例もある。(古くは横綱大錦や力道山、最近では2011年の八百長問題で引退した春日錦や清瀬海など。)
- 力紙[ちからかみ]
二つ折りの白色の半紙で、力水を付ける際に口や顔を清める為に使う。
取組中に髷の元結が外れてざんばらになった場合は一旦取組を止め、土俵下で力紙を紙縒りにして応急処置を行う。
- 力はいる[ちからはいる]
疲れる。
- 力水[ちからみず]
力士が土俵に上がったときに他の力士から渡される清めの水。
前の取組に勝った力士が水桶から柄杓で水をすくい、同じ片屋の次の力士に渡す。渡された力士は水を一口含んで、力紙に水を吐き出し、口や顔を拭いて清める。
なお、勝った力士がいない場合は次の取組の控え力士が力水を渡す。結びの一番などで控え力士がいない場合は結び2番前で勝った力士が勝ち残りで控えて務める。
勝ち残りの力士もいない場合は付け人(当日の取組で勝った者のみ)が行う。その付き人もいない(全員負けたり取組がない場合など)場合は呼出が行う。
- ちゃんこ
力士や親方が作る料理の総称。力士の食事全般のこともこう呼ばれる。力士料理ともいう。
一般的にはちゃんこ=ちゃんこ鍋のイメージが強いが、あくまでちゃんこ鍋はちゃんこの代表格であるに過ぎない。
また幕下以下の力士が部屋の調理を担当する当番のことを「ちゃんこ番」という。
- 注射[ちゅうしゃ]
八百長のこと
- 注文相撲[ちゅうもんずもう]
立ち合いで変化して思うように相撲が取れたこと。
相撲界では注文相撲はあまり好ましくないようであり、特に横綱や大関が注文相撲を取った場合はバッシングの的となる場合が多い。
最近では2014年11月場所12日目で横綱鶴竜が大関豪栄道に対し注文相撲で勝利し、館内がブーイングの嵐となった例がある。
- ちょこれんばん
花札などの賭け事。
2010年には大関琴光喜などの力士の野球賭博が問題になったが…
- ちょんすけ(ちゃんすけ)
旅館などで渡す心付け。いわゆるチップ。
- 丁髷[ちょんまげ]
力士の普段の髪型。幕下以下の力士は基本的に取組も丁髷。(例外あり。詳しくは「大銀杏」を参照。)
関取も稽古や日常生活では丁髷が基本である。
大銀杏も「丁髷」と呼ぶ人も多いが、これは間違いである。
- 土が付く[つちがつく]
負けること。土とは勿論土俵の土のことである。
- 綱打ち式[つなうちしき]
横綱の綱を撚る作業および儀式。
横綱は東京場所前に綱を新調する為、綱打ち式は年3回行われる。
- 露払い[つゆはらい]
横綱土俵入りの介添え役で、西方に蹲踞の姿勢で控える。太刀持ちとは違い、手には何も持たない。土俵入りの先導役でもある。
(以下は太刀持ちと共通)
化粧廻しは横綱の三つ揃えのものを使うため、太刀持ちや露払いを務める力士は幕内土俵入りもこの化粧廻しで参加する場合が多い。
太刀持ちおよび露払いは横綱と同じ部屋あるいは同じ一門の関脇以下の幕内力士が務めるのが慣例だが、諸事情により一門外から起用される場合もある。
なお、幕内であっても大銀杏が結えない力士は太刀持ちや露払いを務めることが出来ない。
横綱の引退相撲の土俵入りでは現役横綱が太刀持ちや露払いを務める場合があるが、この場合は太刀持ちや露払いも横綱を締めて土俵入りを務める。
- 連相撲[つらずもう]
同じ場所で4連勝以上と4連敗以上を共に記録すること(対義語:ヌケヌケ)
転じて、好不調の波が激しい力士のことをいう場合もある。
- 手打ち式[てうちしき]
本場所の興行が無事に終了したことを祝う儀式。千秋楽の取組終了後、弓取式・表彰式がすべて終わったあとに行なわれる。
結びまで務めた審判委員と、その場所に出世した力士たちが土俵に上がって円を作り、お神酒を酌み交わしたのち,呼出しの音頭で三本締めで締める。
最後に「神送りの儀」として、神様に見立てた行司を出世力士たちで胴上げして終了。(出世力士が少ない場合は神送りの儀を行わない場合もあり。)
- 手が合う[てがあう]
仲がいい人のこと。
- 手刀[てがたな]
勝った力士が懸賞を受け取る際に手で行う儀式。
- 出稽古[でげいこ]
他の相撲部屋へ稽古に出向くこと。
- 手相撲[てずもう]
自分の金で飲食すること。すなわち「自腹」。かつては親方が自費で独自の巡業を行う場合も「手相撲」といった。
自分でするの意味から、自慰行為を表す隠語としても使われる。
- 鉄砲[てっぽう]
柱などに対して突っ張りを行う稽古。相撲部屋の稽古場には必ず「鉄砲柱」が備え付けてある。
- てらをきる
金品を盗んだり、ピンハネしたりすること。(本来は島根県の方言で「火をつける(放火)」の意味だが、なぜ盗みの意味になったのかは不明)
- 電車道[でんしゃみち]
立ち合いから一直線で土俵の外に押し出されたり、寄り切られること。「シャミチ」ともいう。
- 藤助[とうすけ]
ケチな人のこと。言葉の由来となった明治時代の三段目力士・藤田川藤助は相撲の実績は皆無だが、そのドケチぶりはあまりにも有名だった。
「貯めた給金を関取衆に貸し高い金利を取っていた」「巡業終業後に桟敷を回って客の弁当の食べ残しを集めていた」など、ケチにまつわる様々な逸話が残っている。
- 徳俵[とくだわら]
土俵の東西南北に1つづつ一俵分外側にずらして埋めてある俵、
- 床山[とこやま] (詳細)
力士の髷を結う職人。力士や行司、呼出と同様各部屋に所属している。
- 年寄[としより]
親方のこと。規定以上の成績を残して現役引退した力士で年寄名跡を取得した者に限り年寄として協会に残ることが出来る。
相撲部屋で力士の指導・育成にあたるほか、協会の事務・運営にも従事する。(ただし事務員については一般採用の者も少数ながらいるが、縁故採用が主である。)
- 年寄会[としよりかい]
協会の役員以外(職階が「委員」以下)の年寄で構成される組織
- 年寄名跡[としよりめいせき]
年寄(親方)になるための権利およびその証書。「年寄株」「親方株」とも呼ばれる。
定数は105家(一代年寄(北の湖・貴乃花)および封印中の名跡1家(根岸)を除く)となっている。
- どっこい
頑固者。
- 飛び道具[とびどうぐ]
足を使って一瞬で勝負を決める技のこと。「けたぐり」などが代表的。
- 土俵を割る[どひょうをわる]
土俵の外へ出る。
- 土俵祭り[どひょうまつり]
本場所の初日前日に土俵で行われる地鎮祭のこと。協会幹部や審判委員などが出席。神官姿の行司が祭主となり、2名の脇行司と共に執り行う。
祭主は「故実言上」の祝詞をあげたあと、春夏秋冬の神々に向け土俵の四隅の四房の下に神酒を捧げる。その後、「方屋開口(かたやかいこう)」を言上し、
洗米、するめ、昆布、塩、榧(かや)の実、かち栗の6品を土俵中央に埋め、神酒をかけて、15日間の場所中の無事、安全を祈願する
- 取組[とりくみ]
力士同士が対戦すること
- 取的[とりてき]
幕下以下の力士の総称。ただし正式名称は「力士養成員」であり、一般的に「取的」は序二段以下の力士を指す場合が多い。
「褌担ぎ」とも呼ばれる場合もあるが、最近はあまり使われない。(対義語:関取)
- 取り直し[とりなおし]
勝負審判による物言いが付き、協議の結果勝敗が決まらず取組をやり直すこと。いわゆる「同体取り直し」
取組が長時間となり、水入りによる中断を挟んでなお決着がつかない場合も取り直しとなる。この場合はこの後の取組を2番取ってから取直しとなる。
この取り直しでも決着がつかない場合は引き分けとなる。(1974年9月場所11日目の二子岳-三重ノ海戦が現段階で最新の例)
(後の取組が2番しかない場合は1番取った後の取り直し、結びの一番または結び前の一番の場合は10分間の休憩後取直しとなる。)
(ただし結びの一番が取り直し(後者)になった例はない)
- 泥着[どろぎ]
稽古場などで廻しを付けた力士が羽織る浴衣。
- とんぱち
目先の見えない人。勘の悪い人。何をしでかすかわからない人。
トンボに鉢巻をすると何も見えないというイメージから「トンボに鉢巻」を略して「とんぱち」となった。