【相撲コラム】2015春場所総括

今場所も白鵬が圧倒的な力を見せつけて6連覇を成し遂げたが、先場所の「審判批判」発言以来報道陣らと距離を置く中で、白鵬は一体何を思いながら相撲をとったのだろうか。
13日目、成長著しい新関脇・照ノ富士に敗れ、昨年の九州場所7日目から続いてた連勝が36で止まった時、明らかに白鵬は茫然となっていた。そして翌日、「因縁の相手」稀勢の里に対し、注文相撲という横綱らしかぬ勝ち方をした。
一夜明け会見では注文相撲を否定していたが、稀勢の里の立ち合いの拙さもあったとはいえ傍から見れば注文相撲ととらえられてもおかしくないのではないだろうか。
白鵬は場所前・場所中を通じ報道陣に無言を貫き、そして一夜明け会見でもついに審判批判に対する謝罪はなかった。
「白鵬は朝青龍化している」など角界内外から素行に対する批判が集まる中で、何を思い、そしてどこへ進もうとしているのか…
因みに管理人も今の白鵬には言いたいことは山ほどあるが、このサイトはなるべく中立的な立場でいきたいので敢えて差し控える。

その白鵬に唯一の黒星をつけた照ノ富士。新関脇となった今場所の快進撃はファンを大いに沸かせた。惜しくも優勝はならなかったが、新関脇のプレッシャーをものともせず、力強さが増した相撲で13勝2敗。来場所の成績次第では大関昇進も期待できるだろう。逸ノ城とは2場所連続で「水入り」の白熱した取組となり、今場所は照ノ富士に軍配。同じ飛行機でモンゴルから来日し、鳥取城北高校に相撲留学したライバル同士。この二人の戦いは新たな名勝負となる要素は十二分にあると思う。

一方、横綱鶴竜は本場所初日当日になって左肩の怪我のため休場。既に2日目までの割が組まれており、初日の逸ノ城戦は不戦敗となり、2日目は割り返し(取組の変更)となる事態となったが、いくら出場の可否の判断に迷ったとはいえせめて前日に決められなかったものだろうか。
千秋楽で弟弟子の援護射撃を果たせなかった日馬富士だが、それ以前に金星配給2つを含む4敗してしまっては横綱としての面目もたたないであろう。白鵬戦はともかく、それ以外の4敗が内容があまりいいものではなかった。
また、日本人3大関はいずれも1桁勝利(稀勢の里9勝、琴奨菊・豪栄道8勝)と精彩を欠いた。現実を見つめ直し、何が課題かを見極め、課題克服に勤しまなければ日本人横綱誕生どころか、大関の地位を維持するのも難しいのではないだろうか。
初日から13連敗し、1勝14敗の劣敗となった松鳳山や、新関脇の場所で怪我に泣き1勝もできないまま途中休場した隠岐の海、好調ぶりを見せつつも重傷を負い無念の途中休場となった遠藤…(遠藤の来場所出場は厳しいかもしれないが)それぞれ来場所は見返すつもりで稽古および治療に努めてほしい。

一方十両は富士東が12勝3敗で優勝し7場所ぶりの幕内復帰を確実としたが、同じく幕内返り咲きを狙う貴ノ岩が11勝4敗、新十両の天風も10勝5敗と健闘を見せた。また、同じく新十両の石浦も体格のハンデをものともせず9勝6敗とこちらも健闘。もう一人の新十両・阿炎は7勝8敗と惜しくも勝ち越しはならなかったが、来場所も十両に留まると思われるので次は勝ち越しを目指して欲しい。
一方新十両を狙える位置につけていた輝は6勝9敗に終わり、阿武咲は7勝8敗で初土俵以来初の負け越しとなったが、まだまだこれからの力士だけにこれを糧にして成長していければと思う。

幕下上位では昨年幕下15枚目格付出デビューの元アマチュア横綱・川端が西幕下筆頭の位置で5勝2敗と新十両を決定づけたほか、入門9年目の錦木も西幕下2枚目で5勝2敗でこちらも新十両が濃厚。東幕下13枚目で全勝優勝の出羽疾風、東幕下3枚目で5勝2敗の若乃島も再十両が濃厚だ。また、学生横綱・アマチュア横綱の2冠で今場所幕下10枚目格付出デビューの大道改め御嶽海はデビュー場所を6勝1敗とし、今後に大きな期待を持たせる相撲を見せた。

先場所に続き15日間すべて満員御礼となり、相撲人気再燃の機運も高まる中終えた今場所だったが、来場所もこのいいムードを維持できるよう、各力士それぞれ精進に努めて欲しい。

追伸
今場所限りで停年退職した朝日山親方(元大関・大受)と立行司・37代木村庄之助のお二方に労いの念を込め、今後のご健勝を心からお祈りします。

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